馬車とメイド

流言氏が「ブラッドハーレーの馬車」と「エマ」1巻を買ってきていたので読ませてもらいました。


まず「ブラッドハーレーの馬車」について。
「子供にとても読ませられない! 直ぐに手離しました」(マコト氏)とか、「凹みすぎて気力を根こそぎ奪われました。同じ日に二度は読めません」(流言氏)など、周りの方がマイナス方向に絶賛しまくるので僕はすっかりビビリマクリブー、ヨガでチャクラを開き仙骨を正して丹田に気を通し、覚悟完了して本を開きました。
20世紀初頭の英国と思しき時代設定。公爵貴族ブラッドハーレーは、全国の孤児院から養子として引き取った少女達で構成される劇団「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」の経営者として知られる人物であり、彼の養女となることは、少女孤児の憧れであった。ある年、地方の孤児院で暮らす少女ダイアナがブラッドハーレーの養女として引き取られることが決まる。喜ぶダイアナとそれを祝う仲間たち。やがてダイアナは迎えの馬車に乗り、ブラッドハーレーの邸へ向かう。そこに恐ろしい運命が待ち受けていようとは知る由もなく――。
そんなお話です。これ以上書くとネタバレになるしそもそも文章にするのが辛すぎる内容なので伏せておきますが、とにかく残酷で哀しい話です。作画と構成の出来がよいので、ひどさが一層際立っております。特に第二話が秀逸かつ最悪。これが小説ならまだ平気だったのかも知れませんが、漫画で表現されると心がもちません。
なんでも読んでる間、無意識に深いため息を吐いたらしく、隣でウォーハンマーのルルブを読んでいた流言氏に「よいため息だった」と評されました。テヘッ。
第二話が最大のヤマで、そこを超えれば以降はそうひどい話や描写はないので、最後まで一気に読み進められるでしょう、たぶん。
後書きでは「赤毛のアンみたいな漫画を描こうと思った」と書いてありますが法螺吹くなコノヤローとツッコミを入れたのは僕や流言氏だけではないはずです。なお流言氏に「これどうするの。マコトさんみたく手離す?」と聞いたところ「すぐには手離さないけど、当面は親の目に触れないよう封印する」と答えが返ってきました。
「家族に見られたら気まずい漫画」としてはかなり高ランクな作品です。漫画なんて食堂や理髪店へいったときに置いてあるゴルゴ13や島耕作などを読むくらいさ! という方にもお勧めしかねます。沙村広明といえば「おひっこし」が一番好きだ! という人(←僕のことです)もちょっと覚悟しておくと吉。


そういう次第で大いに精神的ダメージを受けた僕ではありますが、その後「エマ」で大いに癒されたのでプラマイゼロです。メイドにも眼鏡っ子にも然したる興味などないけれど、エマの魅力は否定しません。エマかわいいよエマ。エレノアもかわいいよエレノア。作者はそこが大事なんですよ作者。

エマ (1) (Beam comix)

エマ (1) (Beam comix)

ブラッドハーレーの馬車はあえて紹介しません。