博物館とあれこれ

半月ほど前、知人に誘われて太宰府市九州国立博物館へ出かけてきました。当時の特別展は、伊藤若冲という絵師を始めとした江戸期の絵画を集めたものでしたが、知人は江戸絵画に格別の関心があったわけでもなかったようで、博物館を一度は訪ねておきたいという気持ちだったようです。僕にしても、江戸時代の絵画なんてサッパリ分からんなぁ、でも博物館など久しく行ったこともないし、大宰府も随分と見てないからたまには足を伸ばすのもよかろう、ということで誘いに応じたのです。
昼に私鉄の駅前で待ち合わせ、近くのパスタ屋で腹ごしらえをしてから出発。乗り継ぎを挟んで二十分ほどで大宰府へ到着。大宰府に入るのは十数年ぶりなのですが、大して景観に変化はないようでした。天満宮へ向かう大参道には人があふれ、左右には土産物を商う店舗が立ち並び、それらの店舗の何割かが梅が枝餅を提供していました。梅が枝餅を売る店はこんなに多かったろうかと数えてみましたが、二桁に達したところで止めました。そんなに売れるのか、梅が枝餅。確かに美味しいけど。ちなみに大宰府へ行かずとも、博多駅などですぐに買えます(他所でも買えるんじゃなかろうか)
参道を過ぎた先に博物館が待ち構えておりました。この建物が実に大きくて、「どーん」という擬音を背負ってそうなくらいのスケール。wikipediaによると国立博物館としては最大規模なのだそうです。時間に余裕がないので常設展示は次の機会にまわすことにして、特別展の会場へまっしぐらに移動。順を追って絵を眺めていきました。
僕は美術的な素養にまったく自信がないので大したことは書けません。インパクトを受けた点だけ抜き出しますと、「日本人はとにかく金色が好きらしい」、「モチーフに多用されている虎は想像の要素が大きい」、「明治期の作品から、明らかに洋画の影響と思しき遠近や色彩が取り入れられていて、自分にはこれらの方が視覚的に馴染んだ」というところです。それと、「唐人図」という作品で描かれている人物の顔立ちから、漫画家・藤田和日郎のペンタッチを思い出したということがありまして、「あーもしかしたら、藤田氏の作風の土台にはこういうものもあるのかもしれないな」と思いました。
一通り回った頃には閉館まで間もなかったので、一階のオープンカフェで一服した後、往路とは別ルートを選んで寺に寄り道などしつつ駅へ戻り、待ち合わせ場所へ帰還。相当にすきっ腹だったので焼肉をガッツリと食らい、地元へ帰る知人を見送った後、別れ際に貸してもらった「もやしもん」を読みつつ帰宅しました。二人いる主人公の一方を女性だと勘違いしながら読み進め、途中で男とわかってひどく落胆したリトル愚かなわし。あれは反則だ。(いやよく読めば最初から男とわかるんだけど)