読書あれこーれ
最後に読書の感想を書いたのが2月12日。もう四ヶ月近く経ってしまいました。半月から一ヶ月に一度の割合で書きたいと思っていたのに、この体たらく。泣けてきます。これ以外にも色々とほったらかしにしてるので、このままだと放置行為に羞恥を覚えなくなりそうで怖い。リハビリの一歩として、四月以降に読んだ本の中から適当に選んで短めの感想を書いてみます。
■ファウンデーション1〜3(アイザック・アシモフ/早川書房)
- 人類圏が宇宙の広範囲に拡大された遠い未来。数学者ハリ・セルダンは、自身が編み出した心理歴史学により、汎宇宙的支配を続けてきた銀河帝国の衰亡と戦乱による長期の暗黒時代の到来を予知する。セルダンは暗黒時代の早期収束を期し、帝国の辺土である惑星ターミナスに帝国の技術と知識を維持する組織「ファウンデーション」を設立する。
- 宇宙的戦国時代が背景にありながらも、武力行使を巧みに避けて周囲の諸惑星と渡り合う「ファウンデーション」のスマートさがよい。
- 作品中に描き出されるファウンデーションおよび銀河の様々な国家形態は、WW2以降に世界中に現れた様々な国家そのもの。シリーズ第一作が書かれたのが戦中であり、執筆当時のアシモフは二十歳そこそこだったという事実に驚愕。
- 数多い登場人物の中では、サルヴァー・ハーディンとミュールが好きだけど、インドバー三世のような小者もいいね。
- このシリーズはアシモフによって七作品が書かれているけれど、四作目以降はファンの意向に応じて新たに書き起こしたものらしいので今回はスルー。アシモフの死後は他の作家によって新シリーズが展開されているけど、今のところはそちらを読む気もない。
- 宇宙船ディスカバリー号が、木星および土星探査のために発進。乗員の宇宙飛行士ボーマンは、その途上で全く思いがけないアクシデントに直面する。
- 小学生の頃、この映画版を見た。序盤から中盤までは大まかに理解できたつもりだけど、終盤から結末までの流れがさっぱり意味不明だった。それはどうやら一般的な反応だったようで、ちょっと安心。
- この小説版を読むことで、ようやくスッキリできた気分。クラークの文章が上手なのか翻訳が巧みなのか、その両方か、文章が明快で非常に読みやすい。
- 四十年前に書かれたものとは思えない新しさがある。エキスパートが物すエスエフは預言書に近いといえるんじゃなかろうか。
- 「プラネテス」が、この作品から影響を受けたのではないかと思える場面が幾つかあって、そういう発見をする楽しさもあった。
■鼠と竜のゲーム(コードウェイナー・スミス/早川書房)
- 「人類補完機構」によって強力に統御された地球および宇宙の植民地で繰り広げられる物語をまとめた短編集。
- エスエフというよりファンタジーに近い。科学的な雰囲気は薄い。自分のような科学的知識に乏しい人間が読んでも、ありえなさを感じる部分がある。
- ディストピアというほどでもないけど、ダダイスティックで非人間的な世界観。生活してると息が詰まりそう。
- 表題作「鼠と竜のゲーム」は猫好きには堪らない。そういう人には「アルファ・ラルファ・大通り」もお薦め。
- エヴァンゲリオンの「人類補完計画」、ここから採ってきたものだそうな。ゼーレの描写は(パターン的ではあるけど)本家本元を意識したものなのかも。
- ナポレオン率いるフランス軍の侵攻に緊張走る、オスマン帝国領エジプト首府カイロ。武力による勝ち目は薄いと判断したカイロの豪族イスマーイール・ベイは、側近アイユーブの案を容れ、稀代の魔道書である「災厄の書」を見出し、その翻訳を画策する。
- 物語の中で物語が語られるという入れ子式の構造。
- 長い。とにかく長い。途中で力尽きる人もいるかもしれない。
- 文章にはかなり癖があるので慣れるまで辛抱がいるかも。慣れると相当に早く読める。
- 同氏が十年以上前に1巻だけ書いて中座したウィズ小説のプロットを下敷きにしている部分もあるのでウィズ好きなら楽しめる部分が多い。
- というか、そのウィズ小説で練ったアイデアを形にしたくて(当時はゲーム小説の制約を嫌って執筆を中断したとのこと)、こういう形式を選んだのかもしれない。どうなんだろうね。
- どうにもカイロの風景が、「ジョジョの奇妙な冒険」タッチで脳内再生されてしまって参った(第三部後半の舞台がカイロだから)
- マイ、マイ、ミアオ!
- 以下、ちょっとしたネタバレ。反転して読まれたし。
と、随分とラフに書きましたが、こんなところで。
次回は漫画について少し書きます。