タイム・リープ―あしたはきのう(高畑京一郎/メディアワークス)

タイム・リープ(時間跳躍)現象」によって未来と過去を行き来することになってしまった少女の物語。(より詳しい粗筋を知りたいという方はkeyword:タイム・リープもしくはタイム・リープ あしたはきのう - Wikipediaへ)
90年代版の「時をかける少女」といわれているようですが、僕は「時をかける少女」をよく知らなかったりします(ゆうきまさみの描いたパロディ漫画なら読んでいるのですが)
明解な文章と丁寧に組み立てられた構成が印象的でした。時間移動をテーマにしているだけに場面転換が目まぐるしいので、所々はじっくり読む必要があるかも知れませんが、最後まで集中して読み進められるでしょう。僕は上巻を読み終えた段階で下巻の内容の大部分が推測できまして、それはきれいに的中しました。そういう点は中高生向けを意識した易しい作りになっているといえます。
なお、著者の前作である「クリス・クロス」を読んでいると、今作のあとがきが楽しめると思います(僕は前作を読んだのが十年前だったため、記憶を掘り起こすのに少し時間がかかりましたが……)
衣谷遊氏のイラストも素晴らしい出来でしたが、この作品にイラストは必要なかったかも知れませんね。それだけ文章の持つイメージ喚起力が強い作品です。